◆はじめに
スポーツや筋力トレーニングをしながら身体を大きくするにはカロリー計算が
必要となります。ハードなトレーニングを続けていても摂取カロリー不足では筋肉が成長できません。今回は身体づくりには大事な知識である摂取エネルギーと消費エネルギーの収支・バランスについて紹介します。
◆カロリー収支と筋肥大について
体重は1日に消費するカロリーより摂取カロリー量が多ければ、カロリーオーバーで増えていきます。逆に消費カロリー量の方が多いと摂取カロリー不足で痩せていきます。
基本的には体重の増減はこのカロリー収支で決まります。
理論的にカロリー不足の状態で筋肥大することは難しいです。筋肉を太く大きくするためにはタンパク質が必要ですが、カロリー不足の場合、糖質や脂質だけでは足りずタンパク質もエネルギー源として代謝されます。これを糖新生と言います。筋肉をつけてもなかなか発達しない場合はPFCバランス(たんぱく質、脂質、炭水化物)を見直す必要があります。
◆3つのエネルギー代謝活動
人間がエネルギーを摂取する手段は食事に限られますがエネルギー消費に関しては主に「基礎代謝」「生活活動代謝」「食事誘発性熱産生」という3つの消費(代謝)活動が行われています。これを足した総計が人間の消費エネルギー量となります。
基礎代謝は、生命維持に必要な代謝活動で24時間代謝が行われます。
生活活動代謝は、日常生活動作や運動などで体を動かす代謝活動です。
食事誘発性熱産生は、食物を消化吸収する代謝活動で、タンパク質の消化吸収に
最もエネルギーを使います。タンパク質は肉や魚などの固形物で朝に摂取することが最も
代謝を高めることができます。
①基礎代謝(約60%)生命維持に必要なエネルギー
⇒筋肉量の増加で向上 筋トレによって筋肉量が増え加齢による基礎代謝量の低下防止と基礎代謝増加により太りにくい体質になります。
②生活運動代謝(約30%):カラダを動かすことで消費するエネルギー
⇒生活強度・筋トレによって向上 運動量が増えると代謝量も増えます。筋トレで筋肉や体力がつくと日常生活がアクティブになりさらに多くのエネルギー代謝ができます。
③食事誘発性熱産生(約10%):食物を消化吸収するためのエネルギー
⇒タンパク質の摂取で向上総摂取カロリーに占めるタンパク質の比率を高めれば、食事の量を減らさなくても食事誘発性熱産生(DIT)が増加しダイエット効果が期待できます。
◆まとめ
自分の1日の消費エネルギーと摂取エネルギーを把握することは身体づくりにとって重要な指標になります。代謝を向上させるためには定期的に運動を継続することを心掛け、食事では5大栄養素バランスよく、特にタンパク質の比率を多くした食事を意識して筋肉量の増加を目指しましょう。
参考文献:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015年、2020年版
【執筆者プロフィール】
澤田 佳寿馬(さわだ かずま)
ゴールドジムノース東京/ウエスト東京/日本大学稲城パフォーマンスセンター 勤務
ゴールドジムプロレーナ—、加圧トレーナー、グループパワーインストラクター、ViPRインストラクターとして現場でパーソナルトレーナー、スタジオインストラクターとして活動中。外部指導として企業へのオンラインセミナーで講師を担当し啓蒙活動を行っている。競技はボディビル/クラシックフィジーク現役でコンテストへ出場している。